北ア穂高連峰 前穂高岳 北尾根 (3,090.2M)


   
 GPS LOG  明神岳 徳沢の少し手前から。
   
 これより、新村橋を渡り奥又白沢に入る登山道を辿る。  パノラマ新道のトレール 慶応尾根に乗った付近から。
   
 屏風のコル付近で稜に飛び出ると、疲れが吹き飛ぶ絶景。  今日の宿 涸沢ヒュッテが近づいてきた。
   
 パノラマ新道、涸沢側に案外よくない場所もある。雨降りは嫌だなぁ。  夜明け前のホンの一瞬の色彩。
   
 刻々と色彩は変わりゆく。  5・6のコルからD峰・・・ここは、ほぼテクテク。でもガレガレ。
   
 W峰ロープは要らないけれどルーファイに気を使う。岩もガレている。  巻き道・・・足元注意。
   
 V峰の取り付きに先行P。右に伸びる吊尾根。  少し引いて観ると・・・・絶景です。
   
 V峰も間もなく終了に近い。  U峰までは僅か。
   
 楽しかったですね。気分上々。  雪崩被害の後、再建された岳沢ヒュッテ改め岳沢小屋。
   
 自然探勝道に出た。登山道入口にある標識 河童橋から岳沢を振り返る。また来よう!



個人山行 
日 時      平成22年09月25日(土)〜26日(日)
参加者     坂場(DAE)さん、若月(HNC)さん、石井(NEN)さん、LTQ(ボク)
行き先      北アルプス 穂高連峰 前穂岳 北尾根
天 候       25日(土)曇り後晴れ 26日(日)快晴後午後16時頃から小雨
目 的     岩稜 登山
装 備     小屋泊まり秋山装備
登攀具  ロープ・カラビナ・ヌンチャク・ピトン・ハンマー・カム少々(シューズは雪が絡まないので軽登山靴・ボクはアプローチシューズ)
ナビ用品:GPS・地図・シルバコンパス・マップポインター
防寒具: ダウン(薄手)
宿 泊   営業小屋泊まり(涸沢ヒュッテ)


コースタイム        事 柄
25日(土)
04:10 自宅に迎えを頂く
07:10 姨捨SA
07:40 松本IC
08:40 沢渡    バス片道1,000円 タクシー片道4,000円四人なので、タクシーで移動
09:20 上高地着(1,500m)
09:35 上高地インフォメーションセンター発
10:10 神明館(1,530m)
11:00 徳沢園(1,562m)
11:26 新村橋(1,581m)
12:33 中畠新道分岐(1,880m)
14:16 屏風のコル(2,425m)
15:15 涸沢ヒュッテ着(2,309m)
19:35 クレーム  階下から煩い。とのこと。まだ19時30分別に手拍子足拍子で騒いでいる訳じゃないのに。
19:45 就寝  別にクレームだから寝るわけじゃないが、だいぶ呑んだので寝ることに。

26日(日)
03:30 WC 快晴星空 通路に霜が付いている
04:30 起床
05:40 涸沢小屋発
07:16 5・6のコル(2,720m) やけに喉が渇くなぁ・・・呑みすぎかぁ
08:50 W峰を越える。先行PがV峰に取り付いたところ。暫し待ちながら休憩し、ルートを探る。どこでもいい様な、悪い様な?40分程の休憩。
11:55 V峰をクリア  何だかよく判らないルート。
12:45 前穂山頂着(3,090.2m)
13:30 前穂山頂発 下山開始   雲が急速に湧き上がってきた。
15:30 岳沢小屋(2.170m)
17:15 河童橋(1,507m)
17:23 上高地 インフォメーションセンター(1,500m)着 

17:54 沢渡P発
18:45 入浴・食事後沢渡発
19:25 松本IC
21:00 上越JCT
22:40 自宅着


概略
前回の集会時DAEさんから今回の山行の計画のお誘いを頂いた。
前穂北尾根・・・日本を代表するクラシックルートとして知られているし顕著なピークを連ねる見栄えは文句なしに美しい。
ただ、純粋なクライミングルートというよりは、岩稜登行にクライミング要素が加わったバリエーションという感じであるが、やはりピーク
に抜けるのは気分が良いだろうと思っていた。
ボクとしては、いつか残雪期のマエホキタオネと思っていたので是非お願いしますと参加のお願をした。
DAEさん、HNCさんの計画に、NENさんにボクが参加させて頂いた。


記録

9月25日(土)
25日朝4時を少し廻った時刻にDAEさんに迎えて頂き、NENさん宅経由で聖籠新発田ICから一路、沢渡を目指す。
高速が長野市内に入り北ア北部が見えると山座同定話に花が咲く。姨捨SAで朝食を摂る。
松本ICから沢渡を目指す。道路は比較的空いているようだ。
沢渡の足湯のある駐車場に車を停める。4人なのでタクシーでもバスでも料金が同じなので、移動スピードが稼げるタクシーを選択。
タクシーのドライバー氏によれば、23日・24日の天気予報が悪かった、実際雨模様だったため
上高地の客入りが少なくアテが外れたようだった。

上高地インフォメーションセンターでDAEさんが登山届を記入提出して出発。お天気も上々で気分も高揚しようというものだ。
自然と歩みも速くなる。半そでのTシャツに長袖の重ね着だが、どうにも長袖が脱げない。案外気温が低い様だ。明神、徳沢で休憩を
とり新村橋を渡る。ここまでは、ほとんど標高を稼ぐことはなく水平移動だ。

奥又白谷沿いの登山道を辿る。ここで漸く長袖を脱ぐ。中畠新道分岐で一本つける。
ここからパノラマ新道を進む。地図では屏風岩を廻り込まないだけ近道だけど、新村橋から屏風のコルまで登りで800m強
屏風のコルから涸沢ヒュッテまで100m強の下り。アップダウンもあり、あまり時間的には早くないし足元も悪い所もあるし
落石の多そうな場所もあるので、一般道としては条件の良い時に利用するのが良いだろうがどちらかと云えば下りのルート
だろうと思う。

中畠新道の分岐を過ぎてまもなく外国人の男女2人のパーティーをパス。余りに大きな荷物なので何処へ行くのか尋ねると
室堂からの入山で11日間とのこと。ドップリと楽しんでいるようです。

屏風のコルで稜に出ると槍ヶ岳から穂高に続く大パノラマがど〜んと広がり疲れも吹き飛ぶようだ。
ここまで来ればあとは今日の宿の涸沢ヒュッテまで下るだけなので休憩しつつ絶景を楽しむ。
ただ、ここからの下りは雨の日は一般道としてはやや悪い感じの場所がある。

涸沢ヒュッテに着いて、DAEさんは明るいうちに取り付き付近の確認に出ていった。
辺りを眺めると、おでんにBEERの方がたくさんおられる。

DAEさんが戻り宿泊手続きをする。新館で4人部屋で4人。想像ではかなりの混雑だったが、23日24日のお天気が悪かったので
キャンセルがあったようだ。空き部屋もあったようだ。

さて、夕食までお神酒で明日の安全祈願祭。
食堂で夕食を頂く。営業小屋泊まりがほとんどないボクからするとかなり贅沢な過ごし方。

部屋に戻り暫くすると階下からクレーム。
ぶっちゃけ、煩いということ・・・時間は19時35分頃
別に、手拍子足拍子に鉢巻きでワイワイしている訳じゃあるまいし。
ハイハイもう寝ますんで・・・

ところで、最近、ヤマで泊まる時思うのですが、皆さん寝るの早すぎませんか?
飯豊の避難小屋でもみんな早い。
一般論として・・・・
尾根歩きは朝早く出て夜は早く寝る。
沢屋さんは、朝水が冷たいせいか、朝は遅めで夜は心行くまで楽しむ。
岩屋さんは何でもいいしどうでもいい・・・・目的地・登攀時間を逆算して朝でも夜中でもいつでもでかける。だから何でもいいし、どうでもいい。

それぞれの言い分もあるだろう。
でも、ボクの個人的な意見とすれば20時頃までは公共的時間でオタガイサマの時間と思う

例えば、飯豊の避難小屋辺りでは、夏場など2時過ぎにガサゴソ、コンロはグオ〜というパーティーもいる。
19時過ぎに他人に煩い。と言った御仁が午前2時過ぎにコンロをゴ〜
どっちが非常識なんだろうか?
20時頃から翌3時頃までは極力静粛にする必要もあろうが・・・・

まあ、我々も天気祭りも充分に執り行い御神酒もなくなったので寝ることにする。



9月26日(日)
昨晩の天気祭りの霊験アラタカ、効果抜群
天気祭りの効果に余りあり、放射冷却でかなり寒い。
つい、数週間前までは、暑くて、筑波山のガマの様に悪い脂汗を流していたのだが今度は寒くてかなわない。

起床後、簡単にカップ麺と握り飯で朝食を摂り準備して出かける。
小屋の外の通路は霜が沢山ついていた。
涸沢岳と奥穂がピンクに染まるなか、小屋を後にする。
雪渓の下に小さな池ができていたが、氷が張っていた。
大きな石が転がる足元の悪い斜面を5・6のコルに向かい歩く。
時折、奥穂側からだろう落石の音が響く。
400m強の標高差を登る。

5・6のコルに着いた。喉が渇く・・・・高度のせい?そんなワケはない・・・・
昨晩の御神酒の影響です。はい。

南東方向に富士山 右に南ア 左にヤツ
陽が当るととても温かく気持ちよい。

さて、登攀具を付けて歩きだす。
X峰は階段状の岩場を登る。ルートは明瞭であまり危なそうな感じもしないが浮石は多い。
というより、浮石でできた山のようだ。問題無くクリアして進む。

W峰は掴みどころのない斜面でルートファインディングと変な浮石に注意しながら中間部から上のバンドを左上して奥又白側に
廻り込んでクリアして進むとV峰が見える。

V峰の取り付きに先行Pが準備中。
ここで暫く休憩して食事やらルートを眺める。どこでも行けそうな?悪そうな?
何だかよくわからない。かなり立っているようだけれど、まあ登山靴で登れるルートなのでそんな細かいワケはない。
概ねルートの見当をつけて、先行パーティーを眺めながらノンビリ過ごす。

V峰の先にはU峰、前穂本峰が見えて、本峰には登山者の姿も見える。
先行Pが動いたので我々も準備する。
1P目
DAEさんリードでNEN、ボクが1本のロープで続きボクのロープでHNCさんを確保する。
先行Pが上の確保点にいるので出られないので壁の中でビレーして貰う。
しかし、ここでもう一人上げるのは厳しいので上が空くのを待つ。
上が空いたので続いて登り、HCNさんを確保する。

2P目
DAEさんがかなりロープを伸ばしたので、2組に分けて登る。
入口でザックが邪魔になるがあとは登り易い。
カムでセルフビレー

3P目
CK脇を登る短いピッチ
DAEさんリード。
ここを登り一端ロープを外し登る。

ピークの岩峰の下で薄かぶりのガバのルートを取るが書物では一段下で巻けるような記述を見たが判らなかった。
DAEさんリードで短いピッチをクリアしてV峰をクリア

U峰へは面倒がらず懸垂で降りて登り返す。
U峰と本峰は指呼の間。僅かな登りで本峰に到着。

前穂高岳山頂で写真を撮ったり食事をし登攀を振り返る。
この頃から雲が湧いてきた。天気予報通りだ。
ガチャをザックに収め重太郎新道を下る。

なかなか急な重太郎新道である。所々に鎖・梯子が設置してある。滑り易い岩に気を使いながら下る。
岳沢小屋は近そうに見えるがどうしてナカナカ歩かせる。
岳沢小屋に到着し暫し休憩するが焼岳方向から雨雲が近づいてくるのが判る。

岳沢小屋から少々下ると、ポツポツ当ってきた。
渋々合羽を着たり脱いだり。結果的には小雨で上がってくれた。

河童橋を渡り上高地に戻る。早々にタクシーに乗り込み沢渡の駐車場へ。
駐車場で靴を脱いで、あ〜快感。
早々に駐車場を後にして近くのDAEさん、HCNさんお勧めの日帰り浴場と食堂の兼業のお店で風呂と蕎麦
で山旅の汗を流し、腹を満たし帰途についた。


※ ルート全体的に浮石が多く何よりこの点に注意が必要。
※ W峰は浮石、ルートファインディングに注意
※ 残置ピトン・スリングは傷んでいるモノが多いのでピトン・スリングまたはカム類があると安心。
※ V峰はかなり立って見えるが、ガバが多いので問題ない。ただし、ホールド・スタンス共に怪しいものが多いのでチェックは怠らないこと。
※ V峰については明確なトポを見かけないし、ピトンもあまり多くないがクライミング自体は見かけほど難しくない。但し高度感がでる。
※ 事前にインターネットで眺めたV峰の下部、取付き付近の印象がどうにも異なる。崩壊したのかもしれない。
※ 緩傾斜、チムニー内は岩が堆積している場所があり不用意に掴ったり引っ張ったりしないように。


それにしても、どうしてこんなガラガラの岩山になるのだろうか?
古い安山岩類に深成岩の貫入ががあり異なる岩質が隣り合う感じがする。
また穂高の地下には全国の平均比較で重力異常があり、地震波も減衰したり不思議な場所のようだ。
これは、古くて硬い岩を下から軽く柔らかい岩が突上げたという説が有力なんだそうだ。
いずれにしても、硬くて快適な岩とは程遠い状況でフリークライミングのエリアとは異質でアルパインの匂いがする場所でした。


お天気に恵まれ時間は限られていたものの充分に堪能しました。


DAEさん
計画、予約、運転等何から何までお世話になりました。
ありがとうございました。


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